経営をしていると「こうあるべきだ」「これが正しい」という原則に縛られることがあります。営業時間はこうでなければならない、スタッフ教育はこう進めるものだ、給与体系はこの形が当たり前。気づけば、自分自身が過去の常識に囚われていることが少なくありません。
しかし時代は常に変化しています。働き方の価値観も、お客様の求めるサービスも、10年前とは全く違う。なのに「今までこうしてきたから」という理由で疑わずに続けてしまうと、変化に取り残されてしまいます。
私が多くの美容室経営者と話していて感じるのは、「本当に大切なのは何か?」を問い直す勇気があるかどうかです。たとえば、休日を増やしたら売上は下がるのか? 昔の感覚では「下がる」が答えかもしれません。でも実際にやってみると、スタッフの満足度が上がり離職が減り、長期的には売上が安定するケースもある。原則を疑ってみるからこそ、新しい可能性が見えてくるのです。
教育でも同じです。技術を詰め込み、我慢させることが「成長の近道」と考えられてきました。しかし今の若い世代には合わない場合もある。むしろ計画的に先を見える化し、楽しみながら学べる環境を整える方が、結果として早く一人前になることもあります。
経営の原則は、守るためではなく問い直すために存在するのだと思います。大切なのは「なぜそれを続けているのか?」と自分に問いかけること。その問いに明確に答えられないなら、一度疑ってみる価値があります。