苦労が思い出になる時何を覚えていたいですか?

経営をしていると苦労は尽きません。売上が伸びずに眠れない夜、スタッフの退職に胸を痛める時、資金繰りに奔走した日々。その瞬間は「なぜ自分だけがこんなに苦しいのか」と感じることもあります。けれども不思議なことに、時間が経つとその苦労さえも思い出に変わっていくのです。

では、その時に私たちは何を覚えていたいのでしょうか。苦しかった数字や失敗の詳細でしょうか。それとも、共に汗を流し、必死に支えてくれた仲間の姿でしょうか。私は後者でありたいと思います。

たとえば新事業の立ち上げ。資金や人材の不安で押しつぶされそうになりながらも、深夜まで残って準備を手伝ってくれたスタッフの笑顔。お客様に喜んでもらえるように必死に考え抜いた日々。振り返れば「大変だったな」という感覚よりも、「あの仲間と共に歩んだ時間があったから今がある」という記憶が残っています。

経営の苦労は消えることはありません。しかし、苦労を共にした「誰かとのつながり」は必ず心に刻まれます。だからこそ私は、苦労を乗り越えた後に「誰と一緒にいたのか」「その時どんな想いを共有したのか」を大切に覚えていたいのです。

経営者としての誇りは、苦労そのものにあるのではなく、その苦労を仲間や家族と分かち合えた事実にあります。苦労を笑って語れる日が来た時、「あの時も一緒にいたね」と言える人がそばにいること。それが何よりの幸せだと、私は思います。だからこそ、今日も苦労の只中で忘れたくないのは「人と人との」。それを覚えていられる経営者でありたいのです。

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