経営者という立場に立つと、日々心の中で葛藤が生まれます。お客様の期待に応えたい、スタッフにもっと良い環境を与えたい、自分の家族との時間も大切にしたい。それぞれが正しく、同時に矛盾を抱えています。
スタッフの希望を叶えてあげたいと思いながらも、経営の数字を考えると全てを実現できるわけではありません。厳しい判断を下さざるを得ない時、心の中で「これで良かったのだろうか」と自問する。そんな瞬間が何度もあります。
また、経営者は強く見られがちですが、本当は不安や孤独を抱えています。「本当にこれで会社を導けるのか」「あの決断は正しかったのか」。夜中にふと目が覚め、考え込んでしまうことも少なくありません。けれども、その葛藤を避けて通ることはできません。むしろ、葛藤そのものが経営者である証であり、人としての深みをつくる時間だと私は思います。
大切なのは、葛藤を弱さと捉えるのではなく、成長の糧として受け止めること。迷いながらも選び取った道を信じ、前に進む勇気を持つこと。完璧でなくていい。悩みながら進む姿を見せることで、スタッフもまた「人は迷いながら強くなるのだ」と学んでくれるはずです。
経営者の葛藤は、決して消えることはありません。ですが、その揺れ動く心を抱えながらも前を向く姿こそが、周りに勇気を与えるのです。私はそう信じています。