カルティエではじめて奥に通されました。担当くださった方は、ベテランのオーラをまとった女性で、話し方、会話の速度、会話の話題性、手配り、気配り、心配りと、どこをとってもこんな心地いい接客を感じたのは久しぶりでした。
長い時間ではなかったのですが、会話の内容は対話感はなく、ある意味物語を聞いている様な感覚になりました。担当してくれた女性は、この業界もカルティエでの勤務経験も豊富なのでしょう。それ以上に、カルティエというブランドが大好きなんだろうと感じました。
比較営業を感じない接客
接客といっても多種多様な業界をひとくくりにする事になってしまうので、今回はカルティエでの出来事と、私たち営業の職種においての事を書こうと思います。
ついつい商材の事や機能やスペックや使用方法などを、積極的に話してしまいがちです。特に営業担当者としては、その商品の良さや使用方法など、他社比較を持ち出したり、過去商品を持ち出したりと、最も楽な「比較営業」に持ち込む人も多い気がします。
カルティでは一切その様な会話はありませんでした。
歴史を語る
担当くださった方が話しはじめました。カルティエという会社の事、ブランドの歴史の事、今回選んだ商品への想いやその商品のブランドヒストリーに聞き入ってしまいました。
身につけた時のイメージや、どんなシーンでの着用イメージかも会話しながら、私のApple Watchの画面に映し出された柴犬の画像にも触れながら、個々の商品の提案よりも、ブランドヒストリーや商品が生まれ今に至る経緯を聞いていると、すっかりファンになってしまいます。
こうして会社を語れる人、歴史を語れる人、イメージをさせてくれるその人を見てその人から話を聞いて、そのブランドの価値が上がりファンも増えるのでしょう。ブランドを育てるのは、商品も重要ですがこうして最前線で語れる人がいて、ブランドを愛していて成長するのだろうと、そう感じます。
細部までこだわる
ご存知の方はとても多いでしょう。全て異なるこのラッピングサービス。同じものは2つない、購入者だけのラッピングサービスです。ひとつひとつに熱を込め、マークを作りラッピングの最後に貼り付ける、いわばテープの代役ですが、これがこだわりのひとつになるわけです。このアイディアは誰が考案したのでしょうか?
支持される営業担当者
私たち営業職ではどうでしょうか?営業といっても、美容メーカー担当者も、美容ディーラー担当者も、銀行営業担当も、証券会社も保険会社も、多種多様な営業職があります。
なぜこの前振りをしたかというと、どの様な商品を取り扱っていようが、どんな自社サービスを持っていようが、それが重要ではないのかもしれないという事です。どうにも売れる理由のない商品ばかりを持ち合わせているのであれば論外ですが、むしろ私たちは商品に自信があってお客様に会っているはずです。
私の周りでの営業担当者同士の会話では、時折こんなやり取りがあります。例えばお客様とのアポイントの時間が60分しかないと仮説した場合、50分は直接的に商品の話などをしない話でむしろほとんど関係のない話、仕事の話は10分位のバランス。
支持される営業担当者はこのイメージが分かるでしょう。
語れる人
私たちが後輩に仕事を教えるとしたら、仕事をさせて成功させる事です。
そのプロセスで、どれだけの商品知識を詰め込んで、どれだけの関連知識を詰め込んで、セールストークに磨きをかけて、ビシッとスーツを着れば、仕事は成功するのでしょうか?
無駄話が上手な人もいますが、無駄話だけをして帰ってくる謎の営業マンも存在します。
お客様に何を伝え、この仕事にどの様な想いがあって、お客様と共感し未来をイメージさせられるか、それは語らないと伝わらない事かもしれません。語ると話すのは少し雰囲気も違いますよね。語り手の迫力は、語り手の想いの量によって異なる気もします。どれだけ本気なのか。それが伝わるのかもしれませんね。